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ペットビジネス「交配と子犬引き取りのトラブル」


ペットショップでは、オス犬は遠くに売りメス犬は近所に売れ、と言われるくらいで、自店が販売したメス犬に交配の世話をして、その出産子犬を買い取る事は大いに奨励される。
業界用語で「畑」「檀家」と呼ぶ人達だ。
「畑」から収穫する子犬は第一に質(健康状態)が格段に良い事があげられる。
職業ブリーダーと異なり、子犬が愛育の対象として見守られて育つ結果である。
これら一胎の子犬は離乳日が予知できる事もあって、計画的な販売ができるのも有利である。
さらに、仕入れ値も有利である。
と、仕入れ値の部分が本日のテーマで、これを「有利」に運ぶためには幾つかの問題点があり、話しの運び方次第ではトラブルとなる。

まず、交配を引き受ける段階で、飼育者に対し、子犬の流通の仕組みを何が何でも理解させなければならない。
つまり、消費者の多くは出産子犬が、自分の買った値段で売れると思っているのである。
このあたりのやりとりが難しいのは、かつて自分がメス犬を売った値段との関係である。
「買うと売るとは大違い」と言う流通の論理をとにかく分からせる事だ。
子犬繁殖の目的を「情操教育のため」とか「母体のため」とかと説明し、「金儲け」と思わせない事だ。
多くのペットショップは「フードや血統書代くらいにはなるよ・・」と言うようなレベルで話しをする事が多い。
ショップにとっては、通常流通ルートで仕入れる子犬よりも安くなければ一連の面倒を見る価値はない。
「金儲け」一点張りの飼育者は相手にしないか、交配だけを引き受けて子犬は引き取らない約束をするのが普通だ。
読者もお察しの通り、子犬を引き取らない場合の交配料は一般に高めとなる。
この場合は交配の証拠写真を渡す事も多い。

先の例のように「情操教育」で納得する飼育者の場合でも、一度は出産させるが、繰り返しペットショップの協力をする事はない。
愛犬の出産は「良い経験」ではあるが、「一度限りでよい経験」なのだ。
一般飼育者がどんどん子犬を生ませたら職業ブリーダーと言う職業は成り立たない。

交配料と引き取り子犬1頭の値段は同じ、と言うもっともらしいルールが昔はあった。
これは「子返し」制度の名残りに違いない。
今でも子犬を引き取る約束で交配する場合の交配料は低めに提示する。
子犬を安く引き取るためには必要な事だ。

「畑」からの子犬の引き取りは一度にやるべきでは無い。
母体の乳腺の問題もさることながら、ショップ側のリスクを回避するためにも出荷の決まった子犬を順に親から離して行く事が望まれる。
母乳を飲んでいる子犬はワクチン接種の必要も無く、安心して出荷できるのである。
さて、初めて子犬を生ませた家庭では、親戚や知人などが子犬を欲しがるケースがある。
これを許すと、ショップ側の出荷計画が狂う。
確かに飼育家庭のメス犬が生んだのだから、子犬の所有権はその飼育家庭にあるのだが、勝手には処分させないような話しの流れを作り、処分できない仕組みも考える。
例えば、交配料やミルクなどの雑貨費用を「子犬で精算するから・・」とあえて受領しない。
血統書関係の手続きは「すべての子犬が出て行った後で・・」と言うように。
ずうずうしいショップなら「どうしても子犬が欲しければ当方から買い戻せ」くらいの事を言ってしまうようだ。

余談ではあるが、いかに希望する場合でも飼育者を交配の現場に連れて行ってはならない。
一般飼育者が想像するようなロマンチックな「行事」ではないのだ。
業として種オスを所有する業者に出向く場合はなおさらで、無用のショックを飼い主に与えるべきでない。
適当なオス犬が近隣に居る場合に、素人同士の犬を交配させる事も可能である。
この場合に留意すべき事は、一般家庭で飼育されるオス犬は、日常生活の中で「その行為」が悪い事と教えられているケースが多い。
つまり、飼い主が見ていると不調に終わる。
2頭の犬だけを密室に入れるとちゃっかりと終了するものだ。
メス犬をオス犬の家(テリトリー)に連れて行くのが常識で、逆をやると失敗するのが普通だ。
読者が男性なら「なぜ?」とは聞かないと思う。