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ペットビジネス「仕入れ時の金銭トラブル」


ペットビジネス、とりわけ生体販売について言えば、「子犬の仕入れ」と言う行為は非常に多くの問題をはらんでいる。
他業界の商品仕入れと大きく異なる点がいくつもある。
(1)生産者(繁殖者)と販売店(ショップ)の間に「取引先」という概念は
   なく1度(数度)限りの取引が多い。
(2)生産者と販売店双方にほとんどの場合面識がなく、お互い警戒心を持っ
   ている。
(3)売り手(繁殖者)側優位で現金主義の慣習が生きている。
(4)仕入れ商品に対する保証がない。
(5)領収書を渡す習慣がない。
(6)血統書は数ヶ月先に届く。
このような関係で行われる取引は当然の事ながら多くのトラブルを生む。
さらにこのような慣習で行われる取引に乗じて悪質な詐欺事件も発生する。

●「詐欺事例/1」送金させて売り手が逃げてしまうケース。
このパターンは非常に多く、できるだけ多くの人からお金を集めようとするために特定のパターンがある。
まず、仕入れ側から見ると「条件の良い取引」が危険である。
もともと子犬を引き渡す気がないのだから、良い子犬が「安い」。
仕入れ側が必死で探している人気の子犬を「複数生まれている」と情報を公開して、全国から出来る限りのお金を振り込ませるのである。
その後は行方不明となる。
連絡先は携帯電話だったりする。
被害者は複数で、被害金額は高額である。
過去にこの種の事件で何人かは逮捕されたが、多くの件は未解決である。
捕まってみると、犯人はブリーダーである事は少なく、かつては仕入れ側だった業者が多い。
仕入れ側の事情(心理)が良く分かっているからこその手口と言える。

●「詐欺事例/2」上のパターンの逆のケース。
子犬を送らせておいて送金しない手口で、生産者が被害者になる。
子犬の取引は通常はお金の振り込みが先なのだが、すぐに送金ができないケースも起こり得る。
それが金曜日。
「明日一番で送金するから、金が着いたら子犬を送ってくれ」と丁寧に電話する。
話の途中で翌日が土曜である事に気付いたふりをして、「月曜の朝一で送金」する事を納得させて子犬を送らせるのである。
お金を払う気がないのだから気前の良い商談が多く、ブリーダーの方も「売りたい」気持ちがあって土曜日に犬を送る。
このパターンは犯人を特定しにくい。
送った先は空港だから元々住所はでたらめで電話も携帯が多い。

上の2つのケースとも、被害者になったら、たまたま犯人が捕まった場合でも、まずお金は戻ってこない。
日本の警察はこの様な事件を「民事」の問題として、余程の事がないと相手にされない。
余程の事とは、特定の人物に被害届けが集中して出され、明らかに「詐欺」行為と認められるケースである。
被害人数が多く、被害金額が高額で広域事件のケースでないと警察は動かない。
結局ほとんどがこのケースにあたらず、犯人が判明しても「詐欺」として立件された事はない。
「その内払うつもりだった」と言えば、これは商取引(民事)で、詐欺にはならないのである。
まれに「詐欺」として立件されたケースがある。
2番目のパターンで、子犬を送らせるために、銀行の振込伝票を変造したケースである。
自分で自分の口座にお金を振り込み、その伝票の一部を切り抜き、騙し取る相手の名前と口座番号を入れた別の伝票にのせてコピーを取り、ファックスで送ったケースである。
「今、銀行へ行って来たから、明日の一番の飛行機で。」と伝票をファックスする。これも金曜日。
最近は夜でも振り込めたり、インターネットなら土日でも送金が可能だったり、入金の確認ができたりするから、この種の事件は減るかも知れないが、無くなる事はあるまい。
捕まっても「払います」と言いさえすれば、放免されると言う不合理は被害を受けた側はやり切れない。

仮りにこの種の事件で被害届けを出すために最寄りの警察へ行ってみたら、こちらが犯人のように対応された事で、ほとんどの人が腹を立てている。
「これが詐欺だと言い切れるか?」と警察。
「それを調べるのが警察の仕事じゃないのか?」と怒鳴りたくなるのを我慢して警察を出るのだ。
この業界では「初取引」には慎重さが求められる。
ただし取り込み詐欺は、始めの何回かの取り引きは気前よく支払うので、くれぐれもご用心を。
被害者にも、加害者にもならないで下さい。