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葬儀や霊園事業をニュービジネスとして捉えるのは違和感もあるが、ペット分野に限って言えばニュービジネスとして大いに研究すべきである。
年間50万頭のいわゆる血統書付きの犬が生まれる日本では、当然の事ながら年間50万頭の犬が死んで行く。
ペットを取り巻く社会の変化は、家庭内での犬の地位を向上させ、愛犬の死を「家族の死」として捉えるところまで来ている。
もちろん、飼育者の考え方や宗教感によって「愛犬の死」にどう立ち向かうかには大いに個人差があるが、気持ちの問題はさておき、愛犬の「死体」の処理は何びとにとっても避ける事ができない。
愛犬の「死体」は法的には「廃棄物」であるけれども、ゴミとして放棄する飼育者は居ないはずであるから、処理方法の選択肢は多く無い。
第1の選択肢として、自宅の庭に埋める方法があり、法的にも問題なく、実際多くの人がそうしていると思われる。
「土に還す」と言う理念にかなっており推奨もできる。
しかし、昨今、マンションでの飼育も一般的となっている事から、この方法は万人に可能とは言えない。
他人の土地や山に埋めるのは「廃棄物」の投棄となり合法では無い。
余談ではあるが、この場合に注意すべき事は、穴を1メートル位の深さに掘る事、ビニール類でくるまない事が必要だ。
きれいな紙を敷いて花などで囲んでやり、上には大きめの石を置いて他の動物に荒らされないようにすべきである。
第2の選択肢は、市町村に引き取りを依頼して焼却してもらう方法だ。
多くの市町村の担当部署が清掃部局となっているため(廃棄物だから)、ゴミと一緒に焼くのではと考える人も居るが、近年それは無いと考えてよい。
多くの自治体が動物専用の焼却施設を持っており、他の動物とまとめて焼かれる。
それ相応の配慮をもって行われるのが普通であるが、おのずから役所の限界というものがあって、返骨や飼育者を思いやるレベルの供養を行う事は無い。
これら一連の業務を外部業者へ委託している市町村もある。
第3の選択肢はペット葬儀業者に依頼する方法で、多くの愛犬家がこの方法を選択するであろう事は容易に想像できる。
つまり、このビジネスは死体の処理業では無く、愛犬家の悲しみをやわらげるケアーのビジネスなのだ。
一般的な流れとして、死体の引き取り、個別の焼却、返骨が基本となっている。
希望によりこの後、墓地や供養施設に収骨して供養を行う霊園事業が一体となる例が多い。
業務の内容から考え、ペットの葬儀、霊園事業は誰れにでもできるビジネスとは言い難い。
しかし、昨今のペットブームを反映した異業種からのペットビジネス参入相談中、ペット葬儀、ペット霊園事業に関するものが極めて多い。
リゾート開発やゴルフ場の用地として企業に取得された土地のバブル後の活用方法としてペット霊園が脚光をあびた格好になっている。
どのような企業にも動物好きの役員が居て、この役員の個人的な経験や発想がひとり歩きしている例も多い。
開業時の問題
このビジネスは宗教にあまり深く入り込んでも不都合であり、かと言って宗教と全く無関係でも成り立たない。
開業地や墓所の予定地が、寺院など既に宗教施設である場合は問題が少ないが、新規にこの事業に参入しようとすると、必ず起こる問題が地元の反対運動である。
条例によってペット霊園の新規開発を規制している県もあり、県の条例をクリアしても、地元の反対運動で開業を断念せざるを得ないケースも少なくない。
現在、郊外で「犬」に関するテーマパークの開園が続いているが、これらの施設のいくつかは将来ペット霊園への転用を意図して設計されている。
開業後の問題
犬の飼育者は多いが、そのいずれの人も自分の愛犬が今日明日に死ぬなどとは思っていない。
つまり、ペット葬儀ビジネスの広告はいくらお金をかけても、愛犬家は真剣に見てくれない。
これらの広告は、実際に愛犬の死にみまわれた飼育者が「確か・・・に広告があったはず」と捜すのである。
つまり、テレビコマーシャルをやったとしても無駄なのだ。
日刊紙の隅(同じ場所)にいつも広告したり、愛犬雑誌に毎号広告を続ける必要がありこの費用は大きなものだ。
インターネット上の「ペット葬儀」「ペット霊園」の検索で上位に表示されるようサイト管理する努力も必須である。
多くのペットは動物病院で死亡する。
ペット葬儀、霊園事業者は必然的に動物病院を取次窓口として集客する事が多くなっているが、動物病院に支払われるリベートが都市部ではかなり高額になっているという。
動物病院側にも、積極的に葬儀業者を紹介したくない理由がある。
獣医は、「死亡」と言う結果ではあっても、治療費は請求しなければならない。
当然、生死にかかわる治療に際する治療費は高額である。
飼育者の立場を考えると、その上に葬儀業者を紹介するのは気がすすまないと言う。
ペットの葬儀ビジネスが軌道に乗り、採算がとれるまでにはかなりの年月がかかる事を念頭に置くべきである。
ペット霊園ビジネスでも永代供養と言う言葉が使われるが、この永代は文字通りの永久ではないらしい。
多くの愛犬家は別の犬を飼う事によって癒され、先の犬の供養から気が遠のくらしく、数年で墓石を撤去するケースも多いと言う。
ペットの葬儀、霊園ビジネスは、法によって「いのちあるもの」と位置付けられたものが「廃棄物」となってから、つまり動物愛護以後のビジネスである。
ペットビジネスでありながら、犬や猫の知識よりも「人」という動物を深く研究しなければならない点で万人向けのビジネスとは言い難い。 |