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ペット業界には「トリミング」と呼ばれるよく知られたサービスがあり、トリミングサロンは全国的に盛況である。
ペットショップにとってトリミングは最も利益率のよい部門であって、トリミングサービスを抜きにペットショップの新規開業は考えられない。
さて、トリミングサロンの来客データを見ると、本来の被毛をカットする目的の来客よりも、シャンプーのための来客が多い事がわかる。
さらに、シャンプーの来客はカットの来客よりも来店頻度が高い。
家庭で飼育されている犬の内、トリマーによる被毛のカットを必要とする犬種は3割に満たず、多くのトリミングサロンはむしろシャンプーサービスに力を入れているのである。
爆発的人気のダックスフンドなどはトリミングの必要がなく、トリミングサロンと言う看板が実はサービスの内容を反映していないと言える状況である。
シャンプービジネスは特にトリミング(カット)技術に堪能な要員でなくても出来る事に注目すべきである。
トリミングサロンでも、ある程度顧客数があり、複数の人手がある場合には、洗う乾かすの作業は特にトリマーでない要員が行い、カットの部分のみをトリマー(有資格者)が行なっている例が多い。
何年か前は洗車はガソリンを満タンにすれば無料があたりまえであったが、近年、洗車を無料で行うスタンドは見当たらない。
愛犬家が犬を洗う事にお金を出すかと言う点では「出す」と結論づけてよさそうである。
ペットを洗う作業は特別な技術は不要だが実は手間のかかる作業である。
ただ洗って乾かすだけではない。
爪を切り、毛玉を取り、耳そうじをして、足の裏の毛や肛門周りの毛を切る。
特に素人が敬遠するのが、肛門嚢しぼりである。
これら一連の作業は、あらゆる犬種に共通であり、すべての犬に例外なく必要な「洗う」と言うサービスは市場規模で考えるとトリミング(カット)サービスを大きく上回る。
風呂場に臭いが残る、乾燥時に被毛が飛び散る、爪切りを嫌がる、など、愛犬家側にも自宅でやりたくない理由がある。
被毛の長短や犬のサイズによって、リピートを前提とした適正な料金を設定し、質の高いサービス内容を掲げた犬の「風呂屋」はペットビジネスの定番になると考えられる。
日本人のきれい好きは有名で、室内飼育が多くなったとは言え、犬をシャンプーする頻度は外国には例をみないレベルである。
海外特に英国の文献を翻訳して日本で紹介する場合、犬のシャンプーの頻度については、日本的にアレンジして紹介せざるを得ない。
英国では猟犬種などは多くても季節の変わり目に一度位とか、本来犬を洗うべきでないとの記述が本流だからである。
特に短毛種では、皮膚、被毛を守る為に皮脂が分泌され、犬本来の被毛の艶となっており、これを洗い流してはならないとされている。
これらの犬種の手入れの方法はブラッシングが最も望ましいとされ、犬種ごと、被毛の状態ごと、季節ごとのブラシが多品種市販されている。
同時にこの皮脂がいわゆる動物臭の元でもあるので、これを嫌う日本人はシャンプーをくり返すのである。
車は汚れるのがあたり前、と言う欧米の考え方に対し、車は光っている物、と言う日本人。
犬に犬の臭いがしてあたり前、の欧米に対し、犬の被毛に自分の毛髪レベルの清潔を要求する日本人。
犬を動物として認識せず、自分の従属物(わが子)としてとらえる日本の愛犬家が犬をシャンプーする頻度は今後ますます増えるものと思われる。
「毎日洗っても毛をいためない」シャンプー剤が市販されているのも日本特有の文化だ。
ペットブームの昨今とは言え、旧来の業態のペットショップがすべて盛況と言う訳ではない。
生体流通を始めとする物販分野はインターネットを中心とした直販に移りつつあり、ペットフードやペット用品はスーパーや量販店で買うのが普通になりつつある。
この先、ペットショップはシャンプー、トリミング、トレーニングなどサービス業として生き残る道を選ぶ事になるであろう。
中でもシャンプーサービスは、大型犬種でさえ室内での飼育が一般的となっているペット大国日本で、ペットサービスの最も普通の形態として定着すると考えられる。
さらにこのビジネスの大きな特徴は、基本的な手法さえ習得すれば特にトリマーを雇用しなくても開業できる点である。
シャンプー水槽とドライヤーさえあれば開業が可能で、設備投資もきわめて少ない。
まず、シャンプーサービスで開店し、この業態からトリミングサービスも追加するという参入の形態は推奨できる。
シャンプーサービスは店舗イメージを統一し、サービス内容を規格化したFC展開に向いたビジネスといえる。
ここ数年、我が国でペットのシャンプーを主サービスとして多店舗展開する複数のグループがあるが、異業種参入という理由もあってか、サービスのノウハウではなく、設備器具の販売に力点が置かれているのは残念な事である。
犬を入れてボタンを押すだけ、などと言う業態が愛犬家の支持を得ることはあり得ない。
愛犬家が望むのは、専門家による飼い主に勝るきめ細かいサービスであって、自動犬洗い器の出現を喜んではいない。 |