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チャンピオンと言うのは、「第一人者」「王者」であるから1頭しかいないかと思っていたら、いくらでも居る。
最近は制度が変わったらしいが、ドッグショーに1回出すとポイントがもらえて、何点かでチャンピオンになった。
筆者も昔は単なる愛犬家であったので、出陳料を払い、犬は出場させなかったのにポイントをもらった事がある。
当時「3本足でもチャンピオンになれる」と教えてくれた恩人もいる。
チャンピオン直子と言うのは決して最高の犬の子ではないのだ。
高級犬の定義に際しては、チャンピオンなどと言う語を引用すべきではない。
高級犬とは「高額犬」と理解した方がわかりやすい。
バブル以前には英国や米国の著名ドッグショーで入賞した犬は2〜3ヶ月後には日本に輸入されていることが多かった。
これらの直子(ナオコではない)は高額で飛ぶように売れた。
米国の西海岸には日本へ、タイトル犬を輸出するための会社が幾つもあった。
この会社は大型トレーラーに犬をいっぱい載せて翌日ドッグショーのある土地を目指して米大陸を夜を徹して走り、いわゆるチャンピオン犬を短期日で作り出すのが仕事である。
このマガジンの読者ならチャンピオン犬がどのように出来上がるのかはご存知のはずで、良くない事に国境はなく、出陳者同士で譲り合ったりして、ムダなくチャンピオンが完成するように仕組まれている。(らしい)
何しろ、良い犬ありきではなく、先に注文ありきなのだ。
西海岸のドッグショーの会場で、あやしい男が話しかけて来た。
「ナゴヤノ○○ヲシッテルカ? シンヨウアルカ?」
つまり、近々チャンピオンが完成する犬を名古屋の○○が買うらしい。
支払いは大丈夫か?と言う意味である。
「この種の商売人はもともと信用など無いのでは」と応じたら、「アメリカでもそうだ。」と笑っていた。
かくして、多くの高額犬が日本に向けて飛ぶ事になる。
その結果、日本の空港の検疫所がいっぱいとなり、収容できなくなるという、笑えない事態が起こる。
米国出国の際に予防接種がされ、病気の徴候はない(健康とは言ってない)と証明する書類が発行される。
規則では予防注射は出国の30日前までに済んでいなければならないのだが、米国には注射の日付けを記入する際にうっかり1ヶ月さかのぼって記入する獣医がいて繁昌している。(らしい)
こうして日本の土を踏んだ犬は何百万かで売れるのである。
筆者は日本で極めて高額で取り引きされた犬の本当の原価を、訴訟絡みの理由で知る事となった。
最悪の例かも知れないが、国内額の20分の1であった。
筆者は何度か西海岸のブリーダーを訪問した事がある。
そのうち何度かは、人を案内する事があり、先方に着くとブリーダーはまず寄って来て小さな声でこう聞いて来る。
「いくら乗せれば良いのか?」
つまり、1万ドルの犬は2万ドルで手を打つのである。
帰り際に当方のポケットに1万ドル入れてくれる仕組み。(らしい)
「これは商売になる」若干英語がしゃべれて、体臭の強い恰幅の良い女
性と肩
を抱き合う位の演技が出来る人なら誰でもできる。
3万ドルから始めて1万ドル値切ってあげて感謝されて、買い主からも礼をもらう。
買い主から礼を取る事が信用を保つ事になる。(らしい)
2万ドルの犬が日本に着いた。
愛犬雑誌に新着種オスとして写真入りで広告する。
交配の申し込みが殺到する。
交配料20万円。
11頭目からは儲けである。
あまり、褒めたビジネスではないが、だれか損をした人間がいるか?いいや皆が儲かったのである。
オーストラリアから一時期に大量の犬が日本に輸入されたことがある。
この事が彼の国でニュースとなり、「その犬がどこへ行くのか」みたいな番組が企画され、テレビクルーが来日した。
案の条、彼の国でペット後進国ニッポンが大きく報道された。
筆者はこの問題でオーストラリア大使館から説明を求められた事がある。
(筆者が輸入したわけではない)
英国は米国と事情が少し異なり、ペット後進国ニッポンへの犬の輸出(売却)を自粛(事実上禁止)している。
但し例外もある。例外のひとつに「血縁者に送る場合」というのがあり、養子縁組みまでして輸入している業者も居る。(らしい)
これとまったく立場を入れ替えた事態も起こる。
アジアのある国と日本である。日本の犬が高く売れる。
ところが日米間になかった問題がある。お金のやり取りが合法でない。
送金できないから現地に行って現金でもらう。
その帰り、空港への道中で何者かに襲われる。怪我をした者も居る。
訴える事すらできない。もともとそんな金額を持っている事が合法でない。
帰りの飛行機の中で実に悔しい思いをした。(らしい)
横浜の中華街で料理店主からお金を受け取り、店主の母国に犬を送るルートも開拓されていた。(らしい)
日本のペットブームの底辺で、種々の人たちがうごめいているのは事実だ。
さて公園に出かけてみよう。
犬を抱いて散歩している奥さんに聞いてみよう。
「いい犬ですね」
「アメリカチャンピオンの子で、○○万で譲ってもらったんです。」ほら、やっぱり誰も損はしていない。
筆者註(このビジネスへの新規参入は決しておすすめしません。) |