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ペットビジネス「ペットシッター」


人間で言う「ベビーシッター」がそのサービス形態と名称をペットに転用したのが「ペットシッター」である。
一般的には飼育者の留守中にペットの飼育家庭を訪問してペットの世話をするのが仕事である。
屋外で飼育される犬のみならず、鍵を預かって室内犬の世話もする。

■ペットシッターから見ると。
出張ペットホテルと言う考え方ができ、サービスの値段もペットホテルの値段に準じたものとなっている。
理論的にはホテル設備が不要であるから、人手さえあればいくらでも引き受ける事ができるが、実際には移動時間や散歩、掃除などに手間と時間がかかり、短時間で切り上げようとすると、サービスが低下する。
ペットホテルにしろペットシッターにしろ季節変動の大きいビジネスである事から専業で採算を合わせる事はもとより困難で、ペットシッターを事業規模で展開する事には当面無理がある。
ペットシッター側には難題もある。
飼育家庭の留守中に訪問するのだから当然鍵を預かる。
このあたりの信頼関係はどこまでの「信頼」なのか。
盗難や侵入、器物の破損、火災など、起こりうる不測の事態を点検してみると「保険」で回避できるものばかりではない。
最悪のケースのリスクを考えた場合でも、ペットシッターサービスはペットホテルの変形として運用できるものなのか。
ひとたび「事件」が報道された時のこの業態に与えるダメージはきわめて大きいと覚悟しなければならない。

■愛犬家から見ると。
ペットホテルに愛犬を預ける事の抵抗感から解放される事は非常に大きい。
ペットホテルに預けるのであれば「旅行も外出も我慢する」レベルの愛犬家が多くなっており、ペットシッターサービスは歓迎すべきシステムである。
しかし、自分の留守中に他人が部屋に入る事の抵抗感も又、非常に大きい。
余程、信頼できる人間関係が成り立っていない限り、鍵を預ける気にはならないのが本音である。
さらに、愛犬とシッターにすでに面識があり、愛犬がシッターを慕っている事も必須条件である。
とすると、シッターの広告を見て愛犬家がおいそれと依頼する事は少ないのではないか。
夏休みや年末年始にペットホテルを捜してみたが、どこもいっぱいで断られ、やむを得ずペットシッターの広告に目が行ったと言うケースなのかも知れない。

■愛犬から見ると。
飼い主の想像通り、愛犬にとってもペットホテルのケージは最悪の環境で、何日間ともなると体調を壊さず戻って来る事の方が難しい。
神経質な日本犬種などではペットホテル側が「拒否」するケースも多い。
ペットも泊れるホテル、ペンションなどが増えているが、未知の土地に行ってみたいと思うのは人間の性で、愛犬は自分の縄張りの中に居るのを最も好むのである。
特に、老犬にとってはペットホテルはもちろん、旅行も負担である。
さて、飼い主の留守中は犬も不安であり、面識のない他人(シッター)が突然自分のテリトリーに侵入するのは、穏やかであるはずはない。
選択肢は攻撃か、相手が強いと見れば服従しかない。
飼い主が居ないと実に頼りない存在なのだ。

■ペットシッター養成団体
ペットシッターと言う新しい業態の登場に素早く反応したのがペットシッターを養成する団体である。
ペットシッター養成セミナーを開催したり、資格も発行している。
参入者は資格を取ればペットシッターとして専業で独立が可能かと不安があるが、このあたりは各団体とも巧妙に言及を避けている。
これらの団体はシッターの養成以前に、愛犬家から信頼される団体ブランドの確立こそ急務である。

新しいビジネスが消費者に認知されるまでには数々の弊害があり、時間もかかる。
参入者の努力で克服できるものもあるが最後まで立ちはだかる壁もある。
ペットシッタービジネスについて言えば、他人に鍵を預けると言う問題は最後まで「壁」なのではないだろうか。

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