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ペットビジネス「ドッグ・ラン」


欧米の早朝の公園は室内で飼育されるさまざまな犬たちが唯一、動物にもどる事のできるひとときとなっている。
公園の広さも影響しているのであろうが、多くのタイプの犬が混在するにも関わらず、さほどの混乱も見られない。
昨今、公園へ犬を入れる事を規制する方向に進んでいる自治体が多い日本から見れば、人と犬のうらやましい交流風景が見られるのも又、欧米の公園である。

公園の入り口には「リードを放たぬ事」あるいは「犬の立入禁止」などの規制表示はあるものの、官も民も一般に早朝のこの光景には寛容の様子である。
さて、犬が特に苦手という人でなくとも、リードを放たれた大型の犬が自分のすぐ近くを歩き回るというのは気持ちの良いものではない。
伝統的に犬の服従訓練が充分になされるお国柄とは言え、万が一の事態が起こらぬ保証はない。
万が一の事態、具体的には犬による傷害事故の起こった場合には、一変して寛容でないのも欧米である。
自分の犬が他人の権利を侵害した場合のペナルティはきわめて大きい。

ニューヨークのマンハッタンにはこうした犬と人間の事情を背景に多くのドッ
グ・ランが設けられている。
ドッグ・ランは公園の一角をフェンスで区切ったものであり、「この内側に限
り合法的に犬を放して走らせる事ができる」との標識が出されている。
ドッグ・ランの入り口に実際に表示されている使用規則の一例を次に掲げる。

ドッグ・ラン規制

  1. 犬の排泄物の後始末をすること。
  2. 付き添いのない犬の置き去り禁止。
  3. シーズン中の雌犬の利用禁止。
  4. 犬の喧嘩禁止。
  5. フードを与える事は禁止。
  6. 12才以下の子供の立入禁止。
  7. 犬には免疫付加(予防注射)がされていること。
各ドッグ・ランの広さはさほど大きいものではなく絶対数も不足しているが、ランに多数の犬が混在していても一応の秩序は保たれている。運動スペースの適所にベンチが配置され、付き添い人が犬を見守っている。
排泄物を収容する大型の容器も準備されている。
ほとんどのドッグ・ランはボランティアの助けを借りる事によって一般愛犬家には無料で公開されている。
一部のコンクリート床のドッグ・ラン以外は木材チップを敷き詰める方法が採用されたが、伝染性疾病の広がりを避けるために定期的にチップの入れ替えが必要で、設備面、費用面の課題も少なくない。
人の居住部に近い公園のドッグ・ランは犬の鳴き声に対する苦情もあって、使用時間を短めに設定している。
小型犬のためのエリアを別に設けたドッグ・ランも作られている。
会員制のドッグ・ランもあり有料で運営されている。
会員制のランは毎日洗浄され、2週間ごとに殺菌される。
今後アメリカでは都市部の公園計画には自動的にドッグ・ラン設備を組み入れていく動きがある。

現在、我が国では公営のものからペット可のペンションが来客用に設けたものまで、多くのドッグ・ランが作られつつある。
これらのドック・ランの多くには、開設当初は芝生が植えられている事が多いが、排泄物での汚染や消毒の必要性などが生じて来て、決して清潔に維持されているとは言えない状況も生じている。
ドッグ・ランの面積に比して、芝生の再生の限界を越えた利用がされるためである。
愛犬家のために作られた施設であっても、愛犬家が避けたくなるような施設も見受けられる。
ドッグ・ランをビジネスとして考える場合には、床面をコンクリートにして洗浄、消毒できる方式を採用すべきである。
骨格形成や転倒時の事故など、コンクリート床を問題視する傾向はあるが、伝染性疾患の感染源となって運営が危ぶまれる事態に陥るよりは望ましい。

ドッグ・ランは、欧米に比べ、より深刻なペット飼育環境に悩む我が国では積極的に推進すべき課題で、会員制ドッグ・ランはビジネスとして充分に検討に値する。
我が国のペット文化の成熟と、動物の適性飼養意識の高まりは、その解決策として近未来、必ずドッグ・ランのような運動設備を多数必要とする。
現状でのドッグ・ラン開業によるビジネス規模は決して大きくないが、ショップやペット美容、スクールなどペット関連の諸事業を併設する事により好ましい展開が見込める。
現在の日本では遊休地の借り上げによる敷地の確保はさほど困難ではない。
ドッグ・ラン施設を利用した家庭犬トレーニングの講習会などなかば公共的な活動の拠点としても有用である。
我が国では、大型犬の飼育者が増加しており、これら愛犬家のほとんどが「思う存分、犬を走らせてやりたい」と願っている事は言うまでもない。
安心できる一定水準以上のサービスを無償で提供する事は困難である。
会員制ドッグ・ランが実現するのであれば、愛犬家は相当のコスト負担にも応じる、と考えることに無理はない。

大型商業施設の駐車場を、定休日に限りドッグ・ランに供するようなサービスもあって良いのではないか。
ドッグ・ランの出入口の構造や、エリア内の樹木の保護など、実際の開設にあたってはニューヨークやサンフランシスコの既設のドッグ・ランを見学される事をお勧めする。

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